ギアは重いのに、脚は終わらない。36T×Alpinistがもたらした「登りのパラドックス」。
「このR5は楽で楽しいけれど、速くはない」 先日そう書きましたが、しばらく走り込んでStrava(走行データ)を見返したとき、とんでもない事実に気がつきました。
登り区間で、自己新記録(PR)を連発していたのです。
今回は、遅いと思っていたのが完全に私の錯覚だったこと、そしてこのバイクで起きている「不思議な現象」について書きたいと思います。
インナー「36T」のパラドックス
今回のカスタムで、チェーンリングを50-34Tから46-36Tに変更しました。 アウターの小型化に目が行きがちですが、実はインナーは34Tから36Tへと大径化(重く)なっています。
物理的に考えれば、登りのギアは以前より重く、脚への負担も増しているはずです。 しかし実際に登ってみると、まったく逆の現象が起きました。
「重いギアを踏んでいるはずなのに、脚へのダメージが少ない」のです。
これまでのバイクでは、登りの後半になると乳酸が溜まり、「頂上までもう踏み切れない…」と脚が終わってしまう感覚がありました。 しかし今のR5は、インナー36Tで登っているにもかかわらず、その感覚が極端に少ないのです。頂上まで、一定のリズムで綺麗に踏み切り、そしてタイムも更新している。完全に感覚がバグっています。
なぜ「脚が終わらない」のか?
重いギアなのに脚が残る。このパラドックスを生み出しているのは、間違いなく機材のトータルバランスです。
- Alpinist CLX IIIの圧倒的な軽さとカーボンスポーク: ペダリングの一瞬の隙(死点)でもバイクが失速せず、スッと前に進んでくれます。そのため、力任せに「踏み直す」という筋肉の無駄遣いがなくなりました。
- Agilest 30cの乗り心地: 路面の細かな抵抗をタイヤが吸収し、推進力のロスを防いでくれています。
- 36Tの適度な抵抗感: ギアが軽すぎない(スカスカしない)ことで、かえって体重を乗せた一定のリズムが作りやすくなりました。
実測6.47kgという圧倒的な車体の軽さがギアの重さを相殺し、機材の効率の良さが「筋肉へのダメージ」を最小限に抑えてくれているのです。
ただし、平坦基調は「リアルに遅い」
一方で、私の「速くはない」という感覚が正しかった部分もあります。 それは「平坦基調」のルートです。
ここに関しては、以前乗っていたS-Works Tarmac SL8や、60mmハイトのBora Ultra WTOには明確に劣ります。空力と最高速を犠牲にして成り立っているため、平坦を高速巡航するシチュエーションでは、物理法則通りに「遅さ」を感じます。
まとめ:大きく変わった「走りの感覚」
- 登り: 36Tの重さを感じさせず、脚を残したまま頂上まで踏み切れる(しかも速い)。
- 平坦: 空力と最高速を捨てたため、事実として遅い。
絶対的なスピード感や、力任せに踏み込む楽しさはなくなりました。 しかしその代わりに、「脚へのダメージなく、どこまでも一定のリズムで登っていける」という、全く新しい走りの感覚を手に入れました。
「タイムを追うのはやめた」という気持ちに嘘はありませんが、気がつけば自己ベストを出してしまうこの魔法のような自転車と、これからも新しい道を走っていきたいと思います。